来るべき妊娠や出産のため、女性の体には生理(月経)という現象が備わっています。約25〜28日周期で2種類の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)のバランスが変動することから、さまざまな症状が現れます。
今回は生理周期における2大悩みについて、わかりやすく説明。これらの時期に意識して摂りたい栄養素も紹介しますので、ぜひご注目ください。
■PMS(月経前症候群)
生理日の3〜10日前に現れ、生理開始とともに軽快するさまざまな症状のことです。身体のみならず、心にも影響します。
- 〇精神的症状:情緒不安定、イライラ、不安、集中力低下、睡眠障害
- 〇自律神経症状:のぼせ、めまい、食欲不振や過食、倦怠感
- 〇身体的症状:頭痛、腹痛、腰痛、むくみ、お腹や乳房のはり
日本産婦人科学会によると「生理のある女性の約70〜80%がなんらかの症状を経験」しており、なかでも「5.4%が生活に困難を感じるほど強いPMS症状に悩まされている」とのことです。
●PMSの原因は?
はっきりとはわかっていません。生理前のエストロゲン・プロゲステロンの分泌低下が、脳内ホルモンや神経伝達物質になんらかの影響を与えているのではと考えられています。また「ストレスを感じている人ほどPMS症状が強い」との報告もあります。
●PMSの改善や治療
「低用量ピルで女性ホルモンの変動をなくす」「症状に合わせた鎮痛剤や利尿剤、漢方薬を用いる」などがあります。十分な休息を取り、リラックスすることも大切です。カフェインやアルコール、喫煙は控えましょう。
★この時期とりたい栄養素★
【ビタミンB6】
ビタミンB6は補酵素としてエストロゲンの代謝に関わっており、ホルモンのバランスを整えるのに欠かせません。また幸せホルモンこと、セロトニンの合成にも使われます。水溶性ビタミンのため、毎日摂取することが大切です。
【ビタミンE】
ビタミンEは、抗酸化作用に加えて生体機能を調節する働きがあり、ホルモンバランスや自律神経を整える働きが期待できます。
【マグネシウム・カルシウム】
マグネシウムには自律神経を整える働きがあります。またカルシウムの補給はPMSの軽減に有効との研究結果(※1)があります。強いストレス下ではどちらも尿として排泄される量が増えるため、積極的に摂りましょう。
※1. Ward MW, Holimon TD(1999) " Calcium treatment for premenstrual syndrome". Ann Pharmacother, 33(12); 1356-8
【チェストベリー】
チェストベリーは、地中海地方やアジア原産のチェストツリーの果実です。欧米では伝統的なメディカルハーブとして婦人科疾患の緩和に役立てられています。
■生理痛(月経痛)
経血を排出するときは、子宮を収縮させる生理活性物質・プロスタグランジンが作られます。この物質には発熱や痛みを起こす作用があるため、下腹部痛や腰痛、腹部膨満感などが現れます。さらに吐き気や頭痛、疲労、食欲不振、イライラ、下痢などが起こることもあります。
財団法人女性労働協会が働く女性1,906人を対象に行った調査(2004年)によると、生理痛がある人は若年層ほど多く、痛みが「かなりひどい」「ひどい」と答えた人は全体の28.6%にものぼりました。
●生理痛の改善や治療
症状に合わせて鎮痛剤や漢方薬、低用量ピルなどが用いられます。生理前は骨盤周りがうっ血しやすいため、めぐりを促す適度な運動もおすすめです。
医薬品を用いても改善しない、起き上がれないほどつらい…という場合は子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が潜んでいる可能性がありますので、婦人科の受診をおすすめします。
★この時期とりたい栄養素★
【マグネシウム】
マグネシウムは、筋肉を緩める働きがあることから、子宮の収縮を調整する働きが期待できます。
【オメガ3系脂肪酸】
リノール酸などのオメガ6系脂肪酸にはプロスタグランジンを作る働きがあります。このためDHAやEPAなどのオメガ3系脂肪酸を多く摂り、バランスを整えるとよいでしょう。
生理痛とは直接関係はありませんが、経血が大量に失われるこの時期は、造血をサポートする【鉄】や【ビタミンB12】も意識して摂りたいものですね。
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参考:日本産婦人科学会ホームページ、女性の健康推進室ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)、MSDマニュアル